紀貫之の作品である土佐日記の「帰京」の品詞分解、現代語訳の第三回です。
【本文】
五年、六年のうちに、千年や過ぎにけむ、かたへはなくなりにけり。今生ひたるぞ交じれる。おほかたの、みな荒れにたれば、「あはれ。」とぞ人々言ふ。思ひ出でぬことなく、思ひ恋しきがうちに、この家にて生まれし女子の、もろともに帰らねば、いかがは悲しき。船人もみな、子たかりてののしる。
【品詞分解】
(第一文)
五年(いつとせ)、六年(むとせ) → 名詞
の → (格助詞 連体格)~の
うち → 名詞
に → (格助詞)~に
千年(千年) → 名詞
や → 係助詞 疑問
過ぎ → ガ行 上二段活用 連用形
に → (完了 ぬ 連用形)~てしまう、~てしまった、~た
けむ → 過去推量 けむ 連体形 注1
かたへ → (名詞)片方、一部分、半分、側、側にいる人
は → 係助詞
なく → 形容詞 ク活用 連用形
なり → ラ行 四段活用 連用形
に → (完了 ぬ 連用形)~てしまう、~てしまった、~た
けり → 過去 けり 終止形
(第二文)
今 → 名詞
生ひ → (ハ行 上二段活用 連用形)はえる、成長する
たる → (完了 たり 連体形)~てしまう、~てしまった、~た
ぞ → 係助詞
交じれ → ラ行 四段活用 已然形
る → (完了 り 連体形)~てしまう、~てしまった、~た 注2
(第三文)
おほかた → (名詞)大部分、世間一般
の → (格助詞 主格)~が
みな → 名詞
荒れ → ラ行 下二段活用 連用形
に → (完了 ぬ 連用形)~てしまう、~てしまった、~た
たれ → (存続 たり 已然形)~ている
ば → (接続助詞順 接確定条件)~ので、~ところ、~と
あはれ → (感動詞)ああ
と → (格助詞)~と
ぞ → 係助詞
人々 → 名詞
言ふ → ハ行 四段活用 連体形 注3
(第四文)
思ひ出で → ダ行 下二段活用 未然形
ぬ → 打消 ず 連体形
こと → 名詞
なく → 形容詞 ク活用 連用形
思ひ → ハ行 四段活用 連用形
恋しき → 形容詞 シク活用 連用形
が → (格助詞 連体格)~の
うち → 名詞
に → (格助詞)~に
この → 代名詞「こ」+格助詞「の」
家 → 名詞
にて → (格助詞)~で
生まれ → ラ行 下二段活用 連用形
し → 過去 き 連体形
女子(をんなご) → 名詞
の → (格助詞 主格)~が
もろともに → (副詞)そろって、一緒に
帰ら → ラ行 四段活用 未然形
ね → 打消 ず 已然形
ば → (接続助詞 順接確定条件)~ので、~ところ、~と
いかが → (副詞)どんなに、どのようにか
は → 係助詞
悲しき → 形容詞 シク活用 連体形
(第五文)
船人 → 名詞
も → 係助詞
みな → 名詞子 → 名詞
たかり → (ラ行 四段活用 連用形)群がり集まる
て → (接続助詞)~て
ののしる → (ラ行 四段活用 終止形)大声で騒ぐ
【現代語訳】
五年、六年の間に、千年が過ぎてしまったのだろうか。(松の)一部分はなくなってしまった。今はえている松がまじっている。ほとんどが、全部荒れてしまっているので、「ああ。」と人々が言う。(この松を見て)思い出さないことはなく、恋しく思うことの中に、この家で生まれた女の子が、一緒に帰らないので、どんなに悲しいことか。船にいた人もみな、子どもが集まって騒いでいる。
クリックにご協力ください。↓ ↓ ↓








